横浜市では教員採用試験で「SPI3」を導入することになりました。
「SPI3」とは適性診断のようなものです。
これを導入することにより、コミュニケーション能力や思考力、判断力など、教員として必要とされる能力を測定することができます。
これまでの試験に比べれば、採用方法が進歩したといえると思います。
これで教育現場における問題点が改善されるとはいいがたいですが、少しはマシになったと思います。
採用側が求める人材を数値化してみることができる
SPIの試験は一般的に、応募者の基礎的な能力や性格特性を評価し、採用側と応募者のマッチングを図る目的で実施されます。
適職診断テスト、性格診断テストに近いといえます。
スピーディーに回答していく必要があるため、自分を偽って回答することが難しいでしょう。そのため人間の本質が出るといえます。
よってこれまでの採用試験において、たとえば面接において試験官に対しての受けが良い回答を用意していたとしても、SPIでは見抜かれてしまう可能性があるのです。
採用する側の手間が減る可能性も
採用する側によって「先生として働くのであれば、こういった人が良い」というのをあらかじめ決めておく必要があります。
そして結果は数値として出てくるため、各受験者が先生という仕事に向いているかどうかの判断をしやすくなるかと思います。
以下のようなイメージです。
項目 | SPI3(性格検査) | 一般的な適職診断・性格診断 |
---|---|---|
目的 | 企業が求める人材と合致しているか評価 | 自分の性格や適職を知る |
質問内容 | 仕事に関する行動特性や価値観を問う | 性格傾向や得意なことを探る |
結果の活用 | 企業が採用判断に利用 | 自分のキャリア選択に活かす |
合否の有無 | 企業の基準により合否が決まる | 合否なし(適性を知るためのツール) |
注目するべきなのは、「企業の基準によって合否が決まる」ということです。
正しい基準を設定しておく必要がある
SPI3は採用する側が、合格の基準をあらかじめ決めておく必要があります。
「このような人が欲しい。先生として頑張ってくれそうだ。」と思っていた判断基準が合っていればよいのですが、もし間違っていた場合、不適切な人材を多く採用してしまう可能性があるということになります。
これがこれからの問題点の1つとして上がって来てしまう可能性もあると思っています。
対策はある程度できてしまう
SPI3は対策することができてしまうようです。
1日当たり1時間前後の勉強を1ヶ月程度続ければ、何もしていないよりも高得点が取れるようです。
また対策して何とかなるということは、本来自分が思っている回答とは違った答えをする人も多くなるということです。
自分の本質を偽って教員として働いていく場合、どこかでどうしてもボロが出てしまうのではないでしょうか?
同じような考え・性格の先生ばかりの懸念
同じような考えや性格を持った人たちが多く集まってしまう可能性もあります。
これは採用側がどのような基準に定めるのかにもよります。
参考程度であれば導入するべきだと思う
SPI3に関しては、参考程度であるならば導入するべきだと思います。
余程、教員の素質として疑問が出るような回答を出す人であればはじいてもよいかとは思います。たとえば何かしらの事件を起こしそうであったりとかです。
しかしそうではない場合、たとえば多少コミュニケーションが苦手であったり、内向的であるといった結果が出たとしても、ある程度許容してあげればよいと思います。
また教員採用試験において受験する科目が多くなればなるほど、教員を目指す人自体が少なくなってしまうことでしょう。
そのあたりをうまくしていく必要があると思います。
