教員の残業代を4%から10%に引き上げは誤った施策である理由 順番が違うと思う

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中央教育審議会が教員の残業代を、今までの4%から10%に引き上げるという素案を示したということです。

これにより、さまざまなところでいろいろな意見が出てきました。

一見すると、良い案のように思えるかもしれません。

しかし学校のことが、そして教員のことが全く分かっていない人が考えた案であることがわかります。

悪い案ではないのですが、順番が違うのでは?と思うのです。

学校での問題点 お金で解決できることではない

現在の学校現場での問題点はいくつかあります。

それは「人材確保が難しくなっている点」です。

人材確保が難しくなっている理由は、数多くあります。

奨学金免除の過去

過去の話ですが、教員になって数年働くと奨学金が免除されるという制度がありました。

しかし1998年~2004年にかけて、段階的に廃止されました。

保護者対応の大変さ

一昔前は学校の先生の立場は今よりも上でした。

何かトラブルがあったとしても「学校の先生がそうしているのだから」という理由で、保護者もあまり学校に対して意見を言うことは少なかったように思います。

ところが年々変化していき、学校に対して意見を言う保護者は多くなっていっています。

これは時代の流れなのか、学校の先生のレベルの低下なのか、メディアの影響なのかはわかりません。

ただ言えることは、保護者対応が昔に比べ大変になってきている現実があります。

プライベートへの考え方の変化

学校に限らずですが最近の若い世代は、プライベートを大切にしたいという考えが強くなっているように思えます。

一昔前は、「会社に骨をうずめる」なんて言葉が聞こえたくらいですが、そこまで忠誠を誓って働いている人は少なくなってきているのではないでしょうか。

そのため、遅い時間まで仕事をしたり、休日出勤をしたりすることは美徳とは捉えられなくなってきていると感じます。

少しでも良い人を確保したいという考えが見える

さまざまな理由で、年々教員採用試験の倍率は減少しており、人材確保が難しくなってきています。

とはいっても、1倍を切っているわけではありません。

しかし採用する側としては、たくさんの人材の中から少しでも良い人材を選びたいと考えるものです。

よって、倍率が高くなればなるほど多くの教員希望者が集まることになり、その分、よい人材を見つけやすいということにつながります。

そこでたくさんの教員希望者を集めようと考え、あの手この手を考えている現状ですが、どうもズレている気がします。

一般企業より採用試験が遅いのが原因か?

人材が集まらない理由の1つとして、一般の企業よりも採用時期が遅いからだと考えているようです。

確かに教員採用試験は、1次試験が7月。そして2次試験と続き、試験結果は秋ごろとなります。一般企業よりも遅いです。

だからこそ、採用試験の時期を早めれば多くの人材が集まり、倍率が上がり、少しでも良い人材を確保できるだろうと考えているようですが、少し違うと思います。

そもそもですが、これまではそのようなことをしなくても採用試験の倍率は高かったのです。

教育現場を理解しているのか

教育関連の法律などを作る人たちは、教育現場のことを理解していないと思います。

今回の案もそうですが、給与をアップすれば教員になりたいと考える人が増えると考えているようです。

少しは効果があるでしょう。しかし問題はそこではない気がします。

4%→10%になったからもっと働けでは意味がない

教員の残業代が4%から10%になったら、さらに残業する理由ができてしまいます。

そこではなく、意味のない会議や集まりを無くし、少しでも早く帰れる状況を作るべきでしょう。

また本来であれば定時になったら帰ることができます。しかし年配の先生の目が気になってなかなか帰れないという若い先生は多いです。

年配の先生の時代は、遅くまで働くことが当たり前であり、それが年配の先生の常識であるためです。

だからこそ、学校全体で定時を過ぎたらなるべく早く帰れる体制を整えるべきでしょう。

ちなみに学校は校長先生が絶対的な存在です。そのため、校長先生の一言ですぐにでも帰れる状況を作ることは可能です。

問題を起こさない教員の確保が必須

教員の不祥事が多くなっています。

これも教員人気を落とす原因となっているかと思います。

そこで偉い人たちはこういうでしょう。

「少ない人材の中から教員を採用しているため、昔に比べて質の低い人材を採用せざるを得ない。だから問題を起こす教員が多い。」

違います。

不祥事を起こす教員は年齢を問いません。

そもそも採用試験の方式に問題があります。今は学力重視です。

極論ですが、これまで一人も友達がいなく、勉強がある程度できれば採用試験に合格します。

しかし教育現場で必要なのは、勉強を教える力も当然ですが、人と人とのコミュニケーションです。

また学校の先生というのは、大学を終えたらすぐに教育現場に行きます。つまり一般社会を見ていません。一般社会を見ていないのに、「挨拶は大事」「遅刻はだめ」「勉強はできるようになれ」といったりします。

一般企業で働いたことがないのにです。

そのため、数年間は一般企業で働くといった機会を定期的に設けたほうがよいと思います。

給与を上げることが根本解決にはならないが

給与を上げることが教員不足を解決する根本解決にはならないと思います。

ただし、教員の給与を上げること自体に反対はしません。

順番がおかしいと思うのです。

まずは働きやすい環境を作る必要があるでしょう。そして賃金の動きとなればよいと思います。

ちなみに学校の先生の給与は、正直恵まれていると思います。これは一般企業で働いてみればわかることです。

親方日の丸である公務員はとても強い仕事です。

もう少し制度を考える側は、現場のことを知ったうえでいろいろ考えたり対応したほうがよいと思います。

今回の件は、現場のことを全く知らない人の思い付きと捉えられてもおかしくないと思います。

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