最近になり、運動会で行われる「組体操」について問題視する記事を多く目にするようになりました。(私が目にしていなかっただけかもしれませんが・・・。)
そこで今回、教師側から見た組体操の危険性と必要性についてお話したいと思います。
学習指導要領には書かれていない
学校は学習指導要領に即して学校経営(授業)が行われていくわけですが、組体操に関しては記載されていません。(私が見たことがないだけかもしれませんが、確かありません。)なので、運動会では特に行う必要はないのです。
運動会の種目は、その学校がどのようなことを行うかを決定します。大抵の場合、毎年伝統のように同じ競技が行われます。なので、子どもからも保護者からも、「何年生になったらあの競技を行う」と言った感じになるのです。
上の学年の種目に対し、憧れを持ったり、自分の子どもの成長を保護者が感じられるといった点では、伝統的に毎年、各学年、同じ競技を行うのは1つの考えとして悪くはないと思います。また、毎年同じ競技を行うことで、大掛かりな道具を学校側もそろえる必要がないため、予算面でも都合が良いのです。
一方、毎年同じ競技では、マンネリ化してしまうといったデメリットもあることも事実です。
しかし、学校側の人間としての考えでは、運動会までの指導方法が分かっているのというのは、やはり効率が良いと思います。
ただし、1・2年生の「表現運動(ダンス)」あたりは、流行りの曲を使うことが多く毎年変更する可能性があります。そのため、振り付けを考える先生は、なかなか大変です。
話を戻しますが、組体操は学習指導要領には明記されていないことなので、運動会で行う必要性は特にありません。上記したように、「伝統として行ってきた」ということで、今でも組体操が残っているという可能性はあります。また、多くの人の頭の中に、「運動会といったら組体操」というイメージがあり、組体操を運動会から失くしてしまうのはどうなのだろう?といった疑問の声も聞こえてきそうです。
禁止してしまうと見ごたえが無くなる
危険だから。
そういった理由で、組体操の在り方が見直されそうな昨今ですが、この意見には賛否両論あると思います。組体操と言えば、運動会の花形種目です。全体リレーと同じくらい盛り上がり、見ごたえのある物でしょう。組体操の場合、とくにピラミッドの場合、高さが高ければ高いほど、「凄い!」というようになり、盛り上がるのは間違いないのですが、高さが高くなれば、その分危険性も増します。
では、低くすれば良いのか?と言うと、危険性は低くなりますが、迫力が無くなります。
迫力を取るのか?それとも安全性を取るのか?と言う議論になれば、恐らく学生の種目ですので、「安全性を取る」といった結論に達すると思います。
組体操はそんなに危険なのか?
やはりピラミッドは危険です。高くなればなるほど危険度は増します。また、最近の子どもの体力は低下しているとも言われています。その子ども達が土台となったら、崩れやすくなるのは当然です。昔は出来たことでも、今は出来ないと言ったことは多々あるのです。
危険性に注目している学校では、ピラミッドも周りに教師を配置するといった処置を取っている所もあります。多少安全性は増すのですが、真っ直ぐ下にピラミッドが崩れた場合、一番下の土台となっている子どもに、その上の子どもの体重がのしかかることとなります。教師の補助は追いつかないでしょう。
下5列のピラミッドの場合、5⇒4⇒3⇒2⇒1といったピラミッドとなります。必ずしもこういった構図になるわけではなく、土台が2列になったりすることもありますが、最低限考えてもこのような構図となるでしょう。
子どもの体重が1人約40キロと考えましょう。すると、一番下の土台に対し、400キロの負荷がかかってくるのです。下の土台は5人いるので、1人当たり80キロの重さを支えるといった計算になるのですが、これでもかなりの重さです。
問題はピラミッドが崩れるとき、均等には崩れないということです。一番下の土台の誰か1人に全ての重さがのしかかる可能性があるのです。つまり400キロ。非常に危険です。
また、ピラミッドの高さが高くなれば、上に登っている子どもも危険度が増します。昔から一番上の子どもは立つのがお約束です。高さがある上に、安定しない人間の背中の上に立つのです。落ちてしまえば、骨折、最悪死亡事故へと繋がりかねません。
まとめて考えますと、運動会でのピラミッドは危険度が高く、そのため迫力があり、見ている人たちが湧きます。子どもたちにとっても達成感を味わうことは出来るでしょう。しかし、見ている人の感性と達成感を味わうのと危険度を天秤にかけたら、危険度の方が上回ると私は考えます。
そもそも運動会とは
学校では「学習指導要領」と言うものに即して、授業が行われていきます。運動会は学習指導要領の中で「学校行事」に含まれていて、学芸会、宿泊合宿、修学旅行と同じ種類になります。
そして、学校行事には様々な意味合いが込められています。例えば、運動会の練習、そして本番。クラスが一致団結して行う種目は、仲間との協力・コミュニケーションといった「道徳的な要素」が必要となってきます。
また、運動会当日に地域の方々を呼んだりすることで、地域との関連を深めることもできます。
私の考えでは、運動会当日はやはり大事なのですが、それよりもそこまでみんなで協力して練習してきたということが大事なことだと考えます。
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